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このヒト・モノ・カネといった,会社組織を構成している経営資源を管理する業務を要素管理と称することにします。
 計数管理は,業務機能を担ったり,経営資源を直接的に管理する業務は含まず,あくまでも間接的な計数による管理を意味しています。
計数管理では会計数値以外に,生産数量・操業度・販売数量・業界シェアといった人数・数量・面積などの非会計的数値も取り扱います。
とはいえ,やはり財務会計と管理会計が計数管理の中心となります。
 さきほどの資金管理や給与計算などの業務を,このような見方から分類すると,資金管理はカネ要素の管理であり,給与計算はヒト要素の管理に該当し,計数管理でないことがわかります。
財務会計や管理会計以外で,経理部の業務にされることの多い業務を列挙してみます。
 ヒト管理では,給与計算・源泉徴収事務・社会保険事務などがあります。
モノ管理では,固定資産関係の管理台帳の記帳や減価償却計算,棚卸資産関係では受払台帳の記帳や実地棚卸などがあります。
カネ管理では出納業務・資金繰りなどの資金管理や有価証券などの管理があります。
また,会社によっては本来は販売業務である売掛金の回収業務を経理部でおこなっていることもあります。
 会社の規模がそれほどではない場合に,これらの業務は経理部の業務とされることが多いようです。
業務量が増えるとともに,カネ管理に関しては資金部や財務部が,モノ管理では固定資産課や流通部・商品部が,ヒト管理では人事部などの専担の部署がつくられるようになります。
 経理業務が財務会計と管理会計とから成り立っていることがわかりましたから,つぎに会社全体と経理業務との関係を検討します。
経理業務は一種の情報処理であるともいえますから,インプットには経理の対象を,プロセスには経理の体制を,アウトプットには経理の機能を対比させて表現することもできます。
 経理の対象となるのは会社全体の業務活動です。
購買業務・生産業務・販売業務などの業務機能やヒト管理・モノ管理・カネ管理などの要素管理など,会社の業務活動のすべてが経理の対象となります。
経理の機能に相当するのは,商法会計・税法会計・証券取引法会計の財務会計と,意思決定計算・予算管理・原価管理などの管理会計です。
経理の体制に相当するのは,複式簿記・勘定科目・会計帳簿などの会計組織です。
ところで実際に経理業務をすすめるのは人間ですから,経理業務に関係する人的組織も含まれます。
さらに今日の経理業務ではコンピュータによる情報システムは不可欠なものとなっていますから,経理業務に関係する情報システムも経理の体制に含めて考えます。
人的組織や情報システムは経理の対象であるとともに,経理の体制そのものをも構成しています。
 財務会計は制度会計とも呼ばれるように,その対象領域は社会的制度である商法・税法・証券取引法などで規定されています。
いずれも年度の会計期間をベースにした期間計算を前提としています。
そこで財務会計の色々な領域を,年度末を中心とした会計期間のサイクルに対応させた一覧表上で整理してみます。
 財務諸表を作成するための決算は,期末時における決算業務だけでおこなえるものではなく,それまでの日常の会計処理を適切に実施していることが大前提となります。
この帳簿記帳の業務が経理部門での業務量の大半を占め,また,そのための体制づくりも重要なものです。
簿記帳はまずもって財務会計のためにおこなわれるため,ここでも財務会計に含めています。
しかし,管理会計もその会計|青報の収集・整理の大部分をここでの帳簿記帳に依存しています。
また,そのように一元的な情報収集ができるようにすることが合理的な体制といえます。
 財務会計は,その目的から商法のための会計,税法のための会計,証券取引法のための会計であるといえます。
 したがって,それぞれの法律の要請に応じることが必須となります。
もっとも,商法ベースの中間決算は,特に法定されていません'が実務上は株主に対して年度決算に準じた決算書を提供している例も見受けられます。
また,これらの法律で対象とされている財政状態や経営成績は,法律の有無にかかわらず,経営管理にとっても根幹となる情報であることを心しておかなければなりません。
 国際会計と称する領域では, ・外国との取引にかんする各国の会計・税務問題を処理したり, ・自社の財務諸表を外国の関係者に提供するために日本ベースの財務諸表を英訳したり, ・外国ベースの会計基準で自社の英文財務諸表を作成したり, ・外国で展開している子会社や取引先企業の財務諸表の分析や邦訳をすることなどがあります。
 財務会計は法的な要請にもとづいた会計のため,変化が少なく固定的なものとの印象を持たれがちです。
 しかし,財務会計とはいえ,世の中の流れと無縁というわけにはいきません。
 コンピュータの浸透によって,帳簿記帳は手書きの時代からそのスタイルを全く変えてしまい,質的な変化までも引き起こしています。
 企業活動や日本経済の国際的進展によって,財務会計も国際的調和をはかっていかざるを得ない時代になっており,リース取引・移転価格税制・連結財務諸表・セグメント情報・関連当事者情報などの領域では,国際的な要請に応じた制度化がすすめられています。
 また,日本経済の成熟によって金融資産の多様化や増大が生じ,その重要性が増してきたため,金融資産の時価情報の開示がすすめられています。
 コンピュータによる情報化,国際的な調和,金融資産の増大といった,時代の変化が財務会計に及ぼしている影響もおさえながら,会社経理の実務を理解することが大切です。
 財務会計はどちらかといえば会計期間をサイクルとした実績中心の会計といえます。
これに対して,管理会計は経営管理のための会計ですから,計画(PLAN)−実行(DO)−統制(SEE)の経営管理の各過程に応じた領域が発達しています。
 意思決定計算は,もっともダイナミックな経営計算の領域であり,意思決定会計あるいは戦略会計と称されることがあります。
経営環境の変化に対応できることを目的として,設備投資,証券投資,資金調達,組織編成などについての意思決定のために種々の代替案を作成します。
意思決定計算では,必ずしも一年という短期の会計期間に収まらない事項を取り扱うことから時間価値という概念を導入し,また,将来の不確実性に対して確率変数という概念を導入するなど,従来の会計とは異なる概念も駆使しています。
 設備投資の意思決定計算では,色々な設備投資案を作成し,それらの代替案に対して現在価値法や内部収益率法などで順位付けをおこないます。
 証券投資の意思決定計算では,個別銘柄の証券分析や,分散投資によるリスク低減をはかるポートフォリオ理論を援用して,金融資産への投資のための収益性や安全性を計算します。
 資金調達の意思決定計算では,銀行からの借入,社債や株式の発行などについて資本調達コストを算定します。
 組織編成の意思決定計算では,合併・買収・営業譲渡・現物出資・企業分割などの会社組織の再編成のための計算をします。
組織再編のことをリストラ(リストラクチャリング)として,わが国でも盛んにおこなわれるようになってきました。

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